今までWEBディレクターとして、大小さまざまな案件を担当してきましたが、その中には失敗に終わったプロジェクトもそれなりに存在します。その失敗したプロジェクトを振り返ってみるとやはり失敗すべく失敗したというか、ある種の法則が存在するのでは?と考えここに記しておこうと思います。あくまでベンチャーでの経験をもとに書いているので大企業や歴史の長い企業ではまた異なってくるかもしれませんが。


その1.プロジェクト立案時に実務を担当する人間が含まれていない

普通なら、WEBやITのプロジェクトの発足した場合、当初からCTOもしくはテクニカル部門の責任者が話合いに参加し、ある程度計画を具体的なものまで落とし込んでからスタートを切るのですが、稀に、代表取締役やその周囲の人間の勅命という形で計画が降りてくる場合があります。そのときに注意したいのが、圧倒的に欠ける納期感覚と費用感覚です。基本的には希望的観測が大いに盛り込まれた予算や工数になっているので、テクニカル担当部署が具体的な予算や実施スケジュールを提出したときに、想定から大きな乖離を見せるケースが多く、その案はまず通りません。結果としていろいろ肉抜き、骨抜きになったプロジェクトの内容になってしまいます。


その2.プロジェクトに関わる登場人物が多すぎる

これも割と深刻な問題で、ベンチャーでもそれなりの人数を抱えるようになったら起こりがちな内容です。組織としてプロジェクトを運営していくので、その中にいる人間はまったく無関係というケースは基本的に少なく、何かしら影響があるのは間違いありません。しかし、プロジェクトを回していくのに関係者がすべて関わっていなければならないかというとそうではなく、むしろ弊害になる場合のほうが圧倒的に多いです。特にお偉いさん方については。普段は聡明でバリバリ仕事をこなす彼らも、専門外、しかも半分ヒトゴトという感覚を持ってプロジェクトに参加します。それゆえに会議などで意見を求められたとき、余り現実的でない、そしてどこかズレたことを延々と述べ、プロジェクトをかき乱していく厄介な存在に成り果ててしまいます。

その3.手段が目的になり果てている

企画に携わる者すべてにいえることですが、普通は目的があってそれを達成するための手段を講じます。しかし手段そのものが目的となってしまい、プロジェクトの成否が完全に運任せになってしまう企画も少なくありません。わかりやすい例でいうと、「スマホが流行っているからスマホに関係するアプリを作ってみよう」とか、「SNSが流行っているから似たような機能をサイトに搭載してみよう」とかいった発想で練られた企画です。通常の思考プロセスなら

目的:前年より売り上げが落ちてきているから何とかしたい

現状把握:ガラケーサイトの収益が減少傾向にある

分析:ターゲット層の関心がガラケーからスマートフォンに移行しつつある

手段の検討:スマートフォンにシフトして得るメリットとデメリットを天秤にかける

実行:プロジェクト発足

といった具合で目的をもとに分析を行い手段を決定していきますが、これらのプロセスを抜かして、世間のトレンドを追い求めるケースも決して少なくありません。たまたま世間のトレンドと取るべき手段が一致することもありますが、往々にして思ったほど効果が出なかったというような事態に陥ってしまいます。


その4.あらかじめプロジェクトに対する評価基準を定めていない

これが意外にあることで、もちろん成功のぼんやりとしたイメージは誰でも持っているんですが、「まあまあ評価できる」、「可もなく不可もない」、「どっちかって言うと失敗」、「明らかに失敗」という基準について設定をしていない場合が多いです。
経験上、無理めなプロジェクトを任された時に、この基準がない場合には大体「どっちかって言うと失敗」の基準に落ち着くことが多いように思えます。(設定がないのであくまで感覚ですが)

人間誰でも成功を目指してプロジェクトを推進しますが、様々な要因で旗色が悪くなり、プロジェクト続行自体が会う危ぶまれることも少なくありません。そんな中で実務を担当している者は、最低限の格好がつくレベルまでには仕上げたいと考えるのですが、このところの明確な指標がないと、努力もむなしく微妙な結果に終わることになります。


 組織で働く以上、自分の動きだけで回避できないこともありますが、気をつけるところは気をつけてフラグを回避していきましょう。